ニートが2年越しに人喰いの大鷲トリコをクリアした話(若干のラストネタバレ有)
ニートをやってみてわかったこと。
それは日々の暮らしが単調すぎて脳みそが溶け出すんじゃないかと不安になる日が1日置きにやってくることだった。しかもそれは、かなりのダメージを精神に負わせるものだから、やがて気が参ってしまう。
とはいえせっかくのニート生活。お金を使わず、かつ達成感を得たい!しかも働いてたらできないようなことしたい!そう思った私は、テレビ台の奥底に眠っていた”人喰いの大鷲トリコ”を引っ張り出してきたのだった。
どんなものかわからない人も多いだろうから、まあとりあえずこのムービーを見てほしい。
この世界観、おそらく好き嫌いは分かれると思うが、イメージしやすいのが、要はポケモンピカブイのリアル版。連れ歩きできるし、乗って移動できるし、リフレもできる。そんなトリコの動きが実家の猫を彷彿とさせるので、制作発表時のPVを観た時から必ず購入しようと決めていた。そして、3年前上京した際に、赤坂のビッカメでPS4と合わせてわずかに残っていた初回限定版を購入した。
人喰いの大鷲トリコ 初回限定版 【早期購入特典】「オリジナルPlayStation 4テーマ」「ミニサウンドトラック」がダウンロードできるプロダクトコード封入 - PS4
- 出版社/メーカー: ソニー・インタラクティブエンタテインメント
- 発売日: 2016/12/06
- メディア: Video Game
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(買ったのこれ)
当時、圧倒的なグラフィックの美しさと、トリコの愛らしい瞳に夢中になってプレイした。謎解きは大の苦手だったので攻略を見ながらのプレイだったものの、トリコが自分の指示にちゃんと従ってくれたときや、呼べば返事をしてくれたときなどトリコとの絆がどんどん深まっていくのを感じてうれしくなった。
たかがゲームなのに絆なんていうとおかしいかもしれないが、トリコと共に様々な困難を乗り越えるたび、どんどん私のなかでトリコは大きく育っていった。
雑なカメラワークと微妙な操作性にも慣れ、なんとかかんとか4分の3ほどを終わらせたとき、私はふとゲームを終わらせたその後が気になるようになった。ゲームをクリアしてしまえばこの冒険は終わる。恐らくトリコと別れることになるだろう。そしたらもう二度とこの瞬間はやってこない。終わったらリセットしてまたやればいいという人もいるかもしれない。だけども、2度目プレイしたとしても、それは確実に初見とは違うものだ。私はそれが猛烈に嫌になった。
こうなると早いもので、毎晩ちょっとずつやっていたトリコをぴたりとしなくなった。なんならネタバレ攻略サイトを見て、そういう感じで終わるのか~。で終わらせた。ネタバレサイトを見ても、それはその人にとってのトリコの話であって私のトリコとの冒険は終わることのないようにこのまま封印しておこうと思ったのだった。
私は終わることが嫌で、最終回を読まずにそのまま放置するという癖があるのだが、共感できる人はいるだろうか。
シリーズ物かつ長ければ長いほど最終回を見る気にならない。ハリーポッターも最終巻は買ったけど読まなかったし、ダレンシャンもそう。最近だと漫画で読んだにも関わらず、アニメ版ジョジョ3部で花京院が死ぬ回以降はげんなりしてしばらく観る気にならなかった。
結末がどうなるかわかっていても、自分の手元にある最終回は読みたくない。読むことによって、自分のなかで市民権を得た世界観やキャラクター達が本当に終わってしまうような気がするのだ。だから、トリコのようにクリア一歩手間で終わらせなかったゲームは今までの人生で山ほどある。
そうしてトリコは一生封印される予定だったのだが、ニート生活で萎えてしまった心のよりどころが欲しくて気づいたら起動させていた。
久しぶりのトリコが画面に映る。私はなんだか古い友人に久々に会ったような気持ちになった。今回はちゃんとクリアするという目標をもとにプレイしていたので、前回とは進捗速度が圧倒的に早くなり、謎解き自体のハードルを下げることで、よりトリコと触れ合う時間が多くなった。
離れてしまったときに彼の名を呼べばどこにいても走ってきてくれる。敵と遭遇したときは槍で穴だらけになりながら守ってくれる。主人公が傷つけば心配そうに鳴きながら一緒にいてくれる。優しい目をした獣はデジタル世界の住人にもかかわらず、確かに存在するものとして私の心を掴んで離さなかった。
先ほど、そんなトリコとの冒険が終わった。
人生で上位に入るほど声をあげて泣いた。
主人公もトリコもお互いのことを想って最後まで戦い、それぞれのエンディングを迎えた。そうして、私とトリコの冒険も同様に終わりを迎えた。
ストーリー自体は昔読んだネタバレと全く同じだった。当たり前である。でも、今日、本当に私と私のトリコだけの物語が終わってしまった。ネタバレサイトにはこんなにさみしくて悲しくて苦しいなんて書いてなかった。顔面ぐしゃぐしゃにして鼻水たらしながらわんわん泣いた。
いまだかつてこれほどまでにゲームのキャラクターに感情移入をした経験は初めてだったので、今も冒険が終わってしまった喪失感で埋め尽くされた気分だ。
谷底を抜けて自由になるためトリコは縮んだ翼を伸ばし風に乗った。大きく広がる翼が夕日にきらめいた。私はあの感動を忘れないだろう。たかがゲームの話かもしれないけれど、誰が何と言おうとトリコは私のなかで生きていた。
ただ、不満を言うとしたらラストだけがどうしても納得いかない。ひょっとしたらトリコは谷に戻って仲間と暮らしているかもしれない。だけどトリコはずっとずっとずっと主人公を待っているんじゃなかろうか。たとえ仲間といたとしても、主人公が会いにきてくれるのをずっとずっとずっとずっと楽しみにしているんじゃないだろうか。最後はせめて再会のニュアンスだけでも描いてほしかった。
そんなラストだったもんで、達成感がありながらも喪失感のほうが大きい。トリコはずっとあの谷底で待ってくれている気がする。だから、時間を置いてもっと私が大人になった頃、もう一度トリコに会いに行こう。
初めての経験をさせてくれてトリコには感謝です。ありがとう。
気持ち悪い日記終わり。
(追記:
撫でて~ってすりすりしてくるの本当にかわいかったです)